学習:本多勝一「日本語の作文技術」6
2008.06.23 Mon
6月の学習テーマは文章の書き方とし、テキストはかつてのカリスマ、本多勝一の著作を読み、日本語文章をどう書けばいいのか考えたい。
テキストの内容をきっかけに、文章をどう書けばいいのか、何が問題なのか、考えてきた。前回までの考え方をおおまかに言うとこうだ。
1.文章は「ですます」調ではなく非「ですます」調にすべき。
2.非「ですます」調だと、語尾の使い方がむずかしい。よく考えて使わないと読み手に不躾で乱暴な印象を与えてしまう。
3.いいなと思う記事の文章をデジタルに分析してみると、その要因がわかってとても参考になる。
1と2だが、確かに手に取ってページをめくりながら読む本で、しかも内容は散文、だったら通用する考え方かもしれない。だがブログなどネットに載せる文章の場合、果たして本当にその考え方が正しいのか、いささか疑問が残る。
なのでネットに載せる文章、特にブログの文章はどう書くべきかに焦点を絞って考えてみたい。
そこで3のアプローチにトライする。これはいいなと思う題材を選んで分析してみる。
今回もちょっと長くなるので、時間のない方はあとでじっくり読んでね。
題材はレビューブロガーのわださんのブログを選んだ。レビュー記事の題材の内容はこの際ちょっと置いといて、文章のみに着目する。ブログ記事の中から最近のもので比較的長いものを選んでみた。
原文はこちら。レビュー記事なので写真やパーツと組み合わせて1つの作品になるので、文章だけ抽出すると違う印象になるおそれがある。是非原文をご参照いただきたい。
では分析結果から。
表題・引用を除く文字数 :1,073
センテンス数 :37
1センテンスの平均文字数:29
語尾表現
体言止め :13(35%)
「〜だ。」 : 0 (0%)
「〜である。」: 0 (0%)
「〜のだ。」 : 0 (0%)
基本は非「ですます」調で「ですます」調も入れている。状況描写や自分の気持表現は非「ですます」調で、登場人物に語りかける部分は「ですます」調と使い分けている。
1センテンスが29文字ととても短い。前回解析した村上春樹の散文は42文字だ。
体言止めが全センテンス数の35%を占める。同じく村上春樹は2%。「〜だ。」「〜である。」「〜のだ。」はともに0。同じく村上春樹は17%。
上記に加えて段落数と改行の使い方にも着目してほしい。
1)1つの段落に1センテンスを多用。1段落複数センテンスでも、センテンスを少なくし、単語短文しか付加していない。
2)長めのセンテンスは、文章の前半の短いところで改行してしまう。
この結果から次の考察ができる。
レビュー記事だから、読み手の注意を惹きつけて飽きさせず、一気に最後まで読み通させなければならない。だから、メリハリ・リズム・変化・近しさ表現を駆使してそれを実現している。
加えて、読み手が文章を追う左から右への視線の動きをできるだけ短くして、写真やツールに視線を動かす労力を極力減らしている。読むとわかるが、文章から写真やツールに視線を動かしたあと、直前に読んでいた元の文章に戻りやすいことに気がつく。
このあたりは写真入りの原文を読んで再び確認していただきたい。
ふつうこのような形式で文章を書くと、たいていはもっと軽薄でしまりのない印象の記事になってしまうのだが、この文章は、
1)非「ですます」調の基調
2)シンプルな言葉遣い
3)徹底した短いセンテンスと体言止めの多用
4)動と静、緩と急のリズム変化
などの相乗効果で、読み手にいい印象を与えている。そして商品レビューという記事の目的を実に効果的に実現している。
これがネットの商品レビュー記事ではなくて、「走ることについて語るときに僕の語ること」風なしみじみとした内容をつづる散文の場合、上記の手法はまったく使えない。
つまりメディアの種類と記事内容の目的に合わせて文章を書くことがまず第一、というまったく当り前の結論になる。
でも共通するところもある。抽出するとこんなところだろう。
1)文体は、非ですます調を基調とする。混在も可だが、基調は非ですます。
2)ぐちゃぐちゃ書かない。シンプルに書く。わかりやすく書く。
3)メリハリをつける。こだわりとあっさり。動と静。緩と急。
このあたりは共通する。特に3はネットの普及にともなって、ネットの文章が通常の文章に与えている影響だと思う。文章としての是非はともかく、読み手を退屈させない技は必要だと思う。
本多勝一のテキストの中では、文章のリズム、という章でこの技について説いている。しかしテキストはネットがこの世に存在していない時代に書かれたものだから、ネット文章のリズムに関しては当然言及していない。
ネットに載せる文章のリズム感については、自分で考えていかなければいけないだろう。どう書けばこの技を出せるのか、自分のスタイルをつくらなくてはいけないな。
ところで余談だが、文体や文章は「生まれつき」みたいなところがあって、うまい文章を書くひとや独自のスタイルを持つ人は意外と自分の文章について意識していない。
今回、上記の引用にあたって和田さんに連絡したが、ご本人は文章や文体についてはまったく意識していない様子だった。村上春樹も読者の文体に関する質問に対して、
「適当でいいんじゃないすか、文体なんて」みたいな主旨の発言をしている。これはちょっとカッコつけすぎの気がするが。
けっこう苦労している私はやはり「生まれつき」に乏しいのかもしれない。だとすれば、よく読みよく書くしかないなと思う。よく考えなくちゃね、やっぱ。(みたいな話し言葉も使うべきなのかなぁ、とか考えてしまうのだ)
次回に続く。
![]() | 実戦・日本語の作文技術 (朝日文庫) 本多 勝一 朝日新聞社 1994-09 by G-Tools |
テキストの内容をきっかけに、文章をどう書けばいいのか、何が問題なのか、考えてきた。前回までの考え方をおおまかに言うとこうだ。
1.文章は「ですます」調ではなく非「ですます」調にすべき。
2.非「ですます」調だと、語尾の使い方がむずかしい。よく考えて使わないと読み手に不躾で乱暴な印象を与えてしまう。
3.いいなと思う記事の文章をデジタルに分析してみると、その要因がわかってとても参考になる。
1と2だが、確かに手に取ってページをめくりながら読む本で、しかも内容は散文、だったら通用する考え方かもしれない。だがブログなどネットに載せる文章の場合、果たして本当にその考え方が正しいのか、いささか疑問が残る。
なのでネットに載せる文章、特にブログの文章はどう書くべきかに焦点を絞って考えてみたい。
そこで3のアプローチにトライする。これはいいなと思う題材を選んで分析してみる。
今回もちょっと長くなるので、時間のない方はあとでじっくり読んでね。
題材はレビューブロガーのわださんのブログを選んだ。レビュー記事の題材の内容はこの際ちょっと置いといて、文章のみに着目する。ブログ記事の中から最近のもので比較的長いものを選んでみた。
原文はこちら。レビュー記事なので写真やパーツと組み合わせて1つの作品になるので、文章だけ抽出すると違う印象になるおそれがある。是非原文をご参照いただきたい。
「燻製記」という名前のブログの話。
数年前、出版記念パーティーで知り合ったMさん。通常なら名刺交換して、その後社交辞令なメール一回交わして終わる関係なんだけど、個人ブログを教えてもらったことから長いおつきあいになった。
一番の理由は、自分がMさんのブログに魅せられたためだと思う。
本人は「まだまだ稚拙でお恥ずかしい限りなのですが・・・」と書いていたが(確かその時点で運営歴数か月だった)、自分にはないセンスと「ブログ力」みたいなものを感じた。
もしかしなくてもこの人、
「すごいブロガー」になる人だな〜と思った。
それから2年半、Mさんの運営ブログは数も増え、盛り上がり、ファンもついてて評価も高い。当時1日2桁台だったというアクセス数も、100倍以上になっているんじゃないかな?
そんなMさんが、まさに「満を持して!」オープンしたブログがこれ。
--------------まき注)ここから引用------------------
●燻製記
簡単燻製 燻製レシピ、燻製料理や燻製のおいしいお店とお酒の探究記 中華鍋を使った簡単燻製の作り方の燻製レシピを中心に綴っています。
--------------まき注)ここまで引用------------------
すげーっ!!!
Mさん。
このブログ、3年間に蓄積したブログ運営ノウハウ、ぎしっと詰め込んだでしょ!?
写真も文章も見事だけど、
それ以外のいろんなところについ目がいってしまう。
そんなMさんからメールが届いた。
--------------まき注)ここから引用------------------
私がそのブログをつくるきっかけをつくってくださった方々の中から、
特に影響の大きかった3人の方に、ささやかな贈り物をしたいと考えております。
--------------まき注)ここまで引用------------------
贈り物だなんて、相変わらず律儀な人だなあ。
さらに記事にまで書いてくれた。
--------------まき注)ここから引用------------------
とりわけ、この「燻製記」を立ち上げるにあたって
大きなきっかけを与えてくださった、3人のかたに
Special Thanks をお伝えしたく、この場を借りて
御礼を申し上げたい。
そもそも「燻製の記録を切り出してブログにしてみては・・?」
とその当時は自分にも考え付かなかったことを
提案していただいた WADA-blog のわださん。
●お知らせ「怪しいツアー回想録」
--------------まき注)ここまで引用------------------
いえいえ、そんなずっと前の会話を覚えてくれていたなんて、こちらも嬉しいですよ!
そして6月1日、荷物が届いた。
なぜか2つ。
しかも一個はめちゃ重。
「6月から絶対に自宅禁酒!」と決めた矢先だったんだけど、まさかこれは・・・?
Mさん・・・いやほんとにやばいんですって、特にプレミアム・モルツは。
自分が「お酒だけは贈らないでください!」って言ってるのは、「饅頭こわい」とは違うんですから(笑)
「1日1本以内」と机に貼って頑張ったんだけど、やっぱりわずか数日で飲み干してしまった。おいしすぎ。やばすぎ。絶対止められなくなる。。。
もうひとつの箱がこれ。
お洒落な箱を開けると、中には「燻」の文字。
そして立ち上ってくる燻製の香り。
おお〜っ!スモークチーズと燻製醤油!
しかも香りがただのスモークチーズじゃない、こりゃすごい!
密封されているのにここまで香りを周囲に漂わせるなんて!!!
こっちもすっごい楽しみ!!!
ひとりで食べるのはもったいなさすぎるので、
先週開催したコンテンツ合宿後の打ち上げで開封しようと思っていたら、予定が変わってしまい、食べそびれている。
誰かに「燻製チーズ食べにこない?」って誘ってみよう。
(プレモル飲み終えた後は「自宅禁酒」開始したので、誰か家に遊びに来る時以外は、家でアルコールを飲むことができないため)
Mさん、本当にありがとうございました。
あと「燻製記期待してます!
では分析結果から。
表題・引用を除く文字数 :1,073
センテンス数 :37
1センテンスの平均文字数:29
語尾表現
体言止め :13(35%)
「〜だ。」 : 0 (0%)
「〜である。」: 0 (0%)
「〜のだ。」 : 0 (0%)
基本は非「ですます」調で「ですます」調も入れている。状況描写や自分の気持表現は非「ですます」調で、登場人物に語りかける部分は「ですます」調と使い分けている。
1センテンスが29文字ととても短い。前回解析した村上春樹の散文は42文字だ。
体言止めが全センテンス数の35%を占める。同じく村上春樹は2%。「〜だ。」「〜である。」「〜のだ。」はともに0。同じく村上春樹は17%。
上記に加えて段落数と改行の使い方にも着目してほしい。
1)1つの段落に1センテンスを多用。1段落複数センテンスでも、センテンスを少なくし、単語短文しか付加していない。
2)長めのセンテンスは、文章の前半の短いところで改行してしまう。
この結果から次の考察ができる。
レビュー記事だから、読み手の注意を惹きつけて飽きさせず、一気に最後まで読み通させなければならない。だから、メリハリ・リズム・変化・近しさ表現を駆使してそれを実現している。
加えて、読み手が文章を追う左から右への視線の動きをできるだけ短くして、写真やツールに視線を動かす労力を極力減らしている。読むとわかるが、文章から写真やツールに視線を動かしたあと、直前に読んでいた元の文章に戻りやすいことに気がつく。
このあたりは写真入りの原文を読んで再び確認していただきたい。
ふつうこのような形式で文章を書くと、たいていはもっと軽薄でしまりのない印象の記事になってしまうのだが、この文章は、
1)非「ですます」調の基調
2)シンプルな言葉遣い
3)徹底した短いセンテンスと体言止めの多用
4)動と静、緩と急のリズム変化
などの相乗効果で、読み手にいい印象を与えている。そして商品レビューという記事の目的を実に効果的に実現している。
これがネットの商品レビュー記事ではなくて、「走ることについて語るときに僕の語ること」風なしみじみとした内容をつづる散文の場合、上記の手法はまったく使えない。
つまりメディアの種類と記事内容の目的に合わせて文章を書くことがまず第一、というまったく当り前の結論になる。
でも共通するところもある。抽出するとこんなところだろう。
1)文体は、非ですます調を基調とする。混在も可だが、基調は非ですます。
2)ぐちゃぐちゃ書かない。シンプルに書く。わかりやすく書く。
3)メリハリをつける。こだわりとあっさり。動と静。緩と急。
このあたりは共通する。特に3はネットの普及にともなって、ネットの文章が通常の文章に与えている影響だと思う。文章としての是非はともかく、読み手を退屈させない技は必要だと思う。
本多勝一のテキストの中では、文章のリズム、という章でこの技について説いている。しかしテキストはネットがこの世に存在していない時代に書かれたものだから、ネット文章のリズムに関しては当然言及していない。
ネットに載せる文章のリズム感については、自分で考えていかなければいけないだろう。どう書けばこの技を出せるのか、自分のスタイルをつくらなくてはいけないな。
ところで余談だが、文体や文章は「生まれつき」みたいなところがあって、うまい文章を書くひとや独自のスタイルを持つ人は意外と自分の文章について意識していない。
今回、上記の引用にあたって和田さんに連絡したが、ご本人は文章や文体についてはまったく意識していない様子だった。村上春樹も読者の文体に関する質問に対して、
「適当でいいんじゃないすか、文体なんて」みたいな主旨の発言をしている。これはちょっとカッコつけすぎの気がするが。
けっこう苦労している私はやはり「生まれつき」に乏しいのかもしれない。だとすれば、よく読みよく書くしかないなと思う。よく考えなくちゃね、やっぱ。(みたいな話し言葉も使うべきなのかなぁ、とか考えてしまうのだ)
次回に続く。
コメント
真剣に読んでしまいました
コメントありがとう!
和田さんのコメント、励みになります。
ところで今朝気がつきましたが、記事の分類の設定ミスで本記事の過去分がうまくソートできていませんでした。失礼しました。朝慌てて修正しました。
なお、本シリーズ以外にも禁酒に関する記事もありますので、お暇なときにでも是非ご覧下さい。分類「習慣」でご覧になれます。
地元根津のシリーズもあります。この際だから宣伝しちゃおっと!
今後ともよろしくです。
ところで今朝気がつきましたが、記事の分類の設定ミスで本記事の過去分がうまくソートできていませんでした。失礼しました。朝慌てて修正しました。
なお、本シリーズ以外にも禁酒に関する記事もありますので、お暇なときにでも是非ご覧下さい。分類「習慣」でご覧になれます。
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どうあるべきか、ちゃんと考えたこともあまりなかったので、この記事、そして連載されている以前の記事、すべて真剣に読ませてもらいました。
特に自分の文体の分析は非常に興味深かったです。
ありがとうございます。
普段何気なく感覚で書いてしまっていて、そのメリット・デメリット両面あるかなと思うのですが、これを読んだら、一度ちゃんと文章論というか、文章術について、本を読んで学び直したい気持ちが芽生えてきました。このあと、さっそく本多 勝一氏のこの本、入手したいと思います。